Cassini、Xenon など高機能・高品質のシンセアプリを手掛ける iceGear から、レゾネーター・シンセシスを採用した物理モデル音源のシンセアプリ Laplace がリリースされていました。
App Store 価格は500円、iOS 7.1 以降の iPad シリーズに対応。
Laplace は、楽器の音色の特徴となる2つの要素を物理演算エンジンによるレゾネーター・シンセシス (Resonator Synthesis) で生成・再現する物理モデル音源のシンセサイザーです。
» 主な仕様
さらに、弦楽器・打楽器は共鳴前の弦や打面自体の振動で発音したい基音(音程として認識される周波数成分の多い音)を含む倍音が決定されているのに対して、管楽器は金管と木管では基音の生成方法が異なります。
金管はトランペットなどのマウスピース部分で発音したい音程の基音を含む倍音を生成して、シリンダーで不要な倍音をそぎ落として基音を目立たせます。
対して木管は吹き口からは一定の基音と倍音しか生成されず、管の音孔(指穴)を閉じたり開けたりすることで、管内の倍音の固有振動を作り出して発音したい音程の基音を生成します。
クラレネットやオーボエなどのリード型とリコーダーやフルートのようなエアブロウ型では倍音生成の原理は同じですが、発音の元になる部分の構造が違うので最初の倍音成分が違ってきます。
Laplace では、発音源の倍音を生成する Exciter セクションと、共鳴倍音を生成する Resonator セクションに分かれいます。
» 全体のワークフロー
Exciter セクションでは、アタックが強くディケイの短い Click と、ADSR エンベロープが調整可能なノイズが生成できる Noise をミックスして使用することができます。
Click で基音のピッチが決められるの加えて、Rsonator にある Sine オシレーターでもピッチの変更ができるので、金管・木管どちらもあるいは両方の特性を持ったサウンドを作ることが可能です。
Noise のほうは鍵盤に連動したピッチは持たず Frequency ノブで設定した周波数に固定されます。
Click と Moise はミックスバランスの調整がされたあと Resonator へ送られます。
» レゾネーターセクションのワークフロー
Exciter から入力されたサウンドは、Dry/Wet で Resonator へ通す割合を調整できます。
Resonator では、共鳴する倍音の特徴 (Flavor) を変化させる Strength と Color の2つのパラメーターのほか、専用のローパスフィルター (LPF) と Decay / Damper の簡易エンベロープ (ENV) が変更可能です。
また、Exciter セクションとは別にピッチ指定と周波数変調 (FM) 可能な Sine オシレーターがあり、Resonator とミックスして出力できます。
Exciter の Noise と Sine を使えば上述の木管のシミュレートができます。
ピッチエンベロープジェネレーター (Pitch ENV) は、Resonator と Sine オシレーター両方に作用します。
Resonator と Sine オシレーターはミックスバランスが調整でき、さらにハイパスフィルターを通して Vibrato/Effect セクションへ送られます。
» Chorus
Dry/Wet、Time、Feedback、Depth、Speed、Spread といったパラメーターが調整ができる内蔵コーラスとては機能豊富なタイプです。
» Delay
Dry/Wet、Time、Modulation(w/LFO)、Feedback、Hi-Damp、Filter(w/LFO/Drive) と機能豊富なパラメーターが揃った、テンポシンク対応の高機能なステレオクロス・ディレイです。
» Reverb
Dry/Wet、Time、H-Damp のみのシンプルな構成のリバーブです。
画面右上の音符アイコンをタップすると、最大16ステップのプログラマブルなアルペジエイターが表示されます。
シーケンスパターンは Up、Down、UpDown、DownUp、Random の5種類で、ステップごとに ノートオン、Glide、Octave、Accent、Staccato の ON/OFF 指定できます。
作ったシーケンスパターンはファイルの保存・読み込みが可能です。
音色プログラム表示部分をタップすると音色ブラウザが表示されます。
画面右上のギアアイコンでオーディオ/MIDI 関連や鍵盤サイズ、ノブの調整方向などの設定変更ができます。
その他に、外部 MIDI コントローラーデバイスを接続して、画面右上の MIDI 端子アイコンを押すと MIDI Learn モードになり、Laplace 側の割り当てたいノブを少し動かしてから、外部コントローラー側の割り当てたいノブ/スライダーを動かすと完了します。
サウンド、デザインともに素晴らしい。
小難しいレゾネーター・シンセシスをパラメーターを絞って分かりやすく、使い勝手が良いように構成されているのはさすがです。
ページ切り替えなどにせずに1画面に収まっているところも◎。
ただ、アルペジエイターやエフェクトを開いたときはバックにシャドウを入れるか、メインパネルを暗くしてもう少し見やすくしてほしかったかも。
あと、AudioBus に対応していないのは何か理由がある?
レゾネーター・シンセシス自体はあまりメジャーではないので、馴染みのない人が多いと思われますが、アナログシンセの基本構成を理解できてる人なら、Laplace を触ってみれば意外に難しくないことに気付くはず。
自分ランキングでは今年のベストシンセアプリ No.1 と言ってもいいくらいです。
iPad 用だけでなくて PC/Mac 用のDAW プラグインにも欲しい…
[関連サイト]
iceGear - Instruments
iceGear
iceGear Laplace - Resonator Synth
カテゴリー: ミュージック
リリース: 2014/10/09 (Ver.1.0.0)
価格: 500円
App Store 価格は500円、iOS 7.1 以降の iPad シリーズに対応。
Laplace は、楽器の音色の特徴となる2つの要素を物理演算エンジンによるレゾネーター・シンセシス (Resonator Synthesis) で生成・再現する物理モデル音源のシンセサイザーです。
» 主な仕様
- レゾネーター・シンセシス・エンジン
- Exciter: Click - Stiffness、Color、Decay、Damper Noise
- Exciter: Noise - LPF、HPF、ENV
- Resonator - Flavor、LPF、ENV、Pitch ENV、Sine、HPF
- Vibrato - Depth、rate
- Effectors - Chorus、Delay、Reverb
- 16ステップのプログラマブル・アルペジエイター搭載
- Inter-App Audio 対応
- CoreMIDI、Virtual MIDI Input 対応
- MIDI Learn 対応 MIDI コントローラーマッピング
- 外部 MIDI シンク対応
楽器の音色を特徴付ける構造について
通常の生楽器には音色を特徴付ける部分が大きく分けて2つあります。1つ目は、弦を擦る、管を吹く、板面を打つといったような、発音の元となる最初の振動を生み出す部分と、2つ目はその振動を楽器の内部や外部で共鳴させて倍音の固有振動を生成する部分です。さらに、弦楽器・打楽器は共鳴前の弦や打面自体の振動で発音したい基音(音程として認識される周波数成分の多い音)を含む倍音が決定されているのに対して、管楽器は金管と木管では基音の生成方法が異なります。
金管はトランペットなどのマウスピース部分で発音したい音程の基音を含む倍音を生成して、シリンダーで不要な倍音をそぎ落として基音を目立たせます。
対して木管は吹き口からは一定の基音と倍音しか生成されず、管の音孔(指穴)を閉じたり開けたりすることで、管内の倍音の固有振動を作り出して発音したい音程の基音を生成します。
クラレネットやオーボエなどのリード型とリコーダーやフルートのようなエアブロウ型では倍音生成の原理は同じですが、発音の元になる部分の構造が違うので最初の倍音成分が違ってきます。
Laplace の構成
Laplace では、発音源の倍音を生成する Exciter セクションと、共鳴倍音を生成する Resonator セクションに分かれいます。
» 全体のワークフロー
Exciter セクションでは、アタックが強くディケイの短い Click と、ADSR エンベロープが調整可能なノイズが生成できる Noise をミックスして使用することができます。
Click で基音のピッチが決められるの加えて、Rsonator にある Sine オシレーターでもピッチの変更ができるので、金管・木管どちらもあるいは両方の特性を持ったサウンドを作ることが可能です。
Noise のほうは鍵盤に連動したピッチは持たず Frequency ノブで設定した周波数に固定されます。
Click と Moise はミックスバランスの調整がされたあと Resonator へ送られます。
» レゾネーターセクションのワークフロー
Exciter から入力されたサウンドは、Dry/Wet で Resonator へ通す割合を調整できます。
Resonator では、共鳴する倍音の特徴 (Flavor) を変化させる Strength と Color の2つのパラメーターのほか、専用のローパスフィルター (LPF) と Decay / Damper の簡易エンベロープ (ENV) が変更可能です。
また、Exciter セクションとは別にピッチ指定と周波数変調 (FM) 可能な Sine オシレーターがあり、Resonator とミックスして出力できます。
Exciter の Noise と Sine を使えば上述の木管のシミュレートができます。
ピッチエンベロープジェネレーター (Pitch ENV) は、Resonator と Sine オシレーター両方に作用します。
Resonator と Sine オシレーターはミックスバランスが調整でき、さらにハイパスフィルターを通して Vibrato/Effect セクションへ送られます。
内蔵エフェクター
エフェクターは Chorus、Delay、Reverb の3つが順にシリアルに接続されていて、個々に ON/OFF ができます。» Chorus
Dry/Wet、Time、Feedback、Depth、Speed、Spread といったパラメーターが調整ができる内蔵コーラスとては機能豊富なタイプです。
» Delay
Dry/Wet、Time、Modulation(w/LFO)、Feedback、Hi-Damp、Filter(w/LFO/Drive) と機能豊富なパラメーターが揃った、テンポシンク対応の高機能なステレオクロス・ディレイです。
» Reverb
Dry/Wet、Time、H-Damp のみのシンプルな構成のリバーブです。
アルペジエイター
画面右上の音符アイコンをタップすると、最大16ステップのプログラマブルなアルペジエイターが表示されます。
シーケンスパターンは Up、Down、UpDown、DownUp、Random の5種類で、ステップごとに ノートオン、Glide、Octave、Accent、Staccato の ON/OFF 指定できます。
作ったシーケンスパターンはファイルの保存・読み込みが可能です。
その他
音色プログラム表示部分をタップすると音色ブラウザが表示されます。
画面右上のギアアイコンでオーディオ/MIDI 関連や鍵盤サイズ、ノブの調整方向などの設定変更ができます。
その他に、外部 MIDI コントローラーデバイスを接続して、画面右上の MIDI 端子アイコンを押すと MIDI Learn モードになり、Laplace 側の割り当てたいノブを少し動かしてから、外部コントローラー側の割り当てたいノブ/スライダーを動かすと完了します。
公式デモ
[ここに YouTube プレイヤーが表示されます]
http://www.youtube.com/watch?v=ARU5BIS47YQ
http://www.youtube.com/watch?v=Y1tOu3Rcic8
http://www.youtube.com/watch?v=ARU5BIS47YQ
http://www.youtube.com/watch?v=Y1tOu3Rcic8
サウンド、デザインともに素晴らしい。
小難しいレゾネーター・シンセシスをパラメーターを絞って分かりやすく、使い勝手が良いように構成されているのはさすがです。
ページ切り替えなどにせずに1画面に収まっているところも◎。
ただ、アルペジエイターやエフェクトを開いたときはバックにシャドウを入れるか、メインパネルを暗くしてもう少し見やすくしてほしかったかも。
あと、AudioBus に対応していないのは何か理由がある?
レゾネーター・シンセシス自体はあまりメジャーではないので、馴染みのない人が多いと思われますが、アナログシンセの基本構成を理解できてる人なら、Laplace を触ってみれば意外に難しくないことに気付くはず。
自分ランキングでは今年のベストシンセアプリ No.1 と言ってもいいくらいです。
iPad 用だけでなくて PC/Mac 用のDAW プラグインにも欲しい…
[関連サイト]
iceGear - Instruments
iceGear
iceGear Laplace - Resonator Synth
カテゴリー: ミュージック
リリース: 2014/10/09 (Ver.1.0.0)
価格: 500円